生まれてから2歳までの診療
生まれてから2才頃までに心がけたいこと
赤ちゃんは、生まれてから2歳頃までに「乳歯(にゅうし)」と呼ばれる子どもの歯が生えてきます。その過程で、食事の内容が変わったり、歯並びが形成されていったりと、いろいろな変化が現れます。この期間にお母さんが心がけておきたいことをご紹介します。
正しい食べ方を身に付ける
乳児型嚥下から成人型嚥下へのステップ
まだ歯が生えていない赤ちゃんは、乳児型嚥下(にゅうじがたえんげ)と呼ばれる方法で、食物を飲み込みます。舌を前に突き出して、ミルクを飲み込む方法です。これを成人型嚥下(せいじんがたえんげ)へと正しく移行させるのは、とても大切なことです。歯が生えてきて、離乳食を食べるようになってからも乳児型嚥下が残ってしまうと、歯並びを悪化させる原因にもなるからです。ちなみに、成人型嚥下では、舌を後ろに引っ込めて、食物を飲み込む方法で、私たちが無意識のうちに行っている嚥下方法です。
哺乳ビンの使用期間(哺乳瓶むし歯のリスク)
哺乳ビンはとても便利なものなので、ついつい長い間使用しがちですが、適切な時期にコップへと移行しなければ、「哺乳瓶むし歯」と呼ばれるむし歯のリスクを高めることとなります。歯が生え始める生後10ヶ月ごろには、コップで飲ませる練習をし、1歳6ヶ月頃には完全に哺乳ビンの使用をやめるようにしましょう。
おやつの必要性について
低年齢の時期は1日に3回の食事では食べる量も限られています。食べる楽しみも学びながら、おやつの時間を考えましょう。おやつは甘いものばかりではありません。当院では年齢に応じたおやつの取り方や内容についてもアドバイス致します。
生えたばかりの歯をむし歯菌から守る
歯磨きを始める時期
子どもの歯である乳歯は、はじめに下の前歯が生えてきます。一般的には、生後6ヶ月以降に生えてきますので、それくらいから歯磨きを始めましょう。まずは前歯をガーゼで拭いてあげましょう。奥歯が生える1歳過ぎから歯ブラシで磨いてあげてください。
歯磨きの適切な回数
歯磨きの適切な回数は、毎食後です。始めはお子さんも嫌がりますが、習慣化していくことで、毎食後しっかりとした歯磨きができるようになります。歯磨きの仕方に関しては当院の衛生士が指導いたします
歯科医院でのフッ素塗布
生えたばかりの歯は、むし歯になりやすくなっています。食べかすやプラークが溜まりやすく、エナメル質も未成熟です。それだけに、歯質を強化するフッ素塗布が推奨されます。当院では歯磨き粉に含まれているフッ素より濃度の濃いフッ素を4か月に1回塗ることで歯質強化の効果の持続を促しています。
歯並びを正常にするために
食べるときの姿勢
良い歯並びと咬み合わせをつくる姿勢について、指導いたします。
呼吸の仕方、飲み込み方
良い歯並びと咬み合わせをつくる呼吸の仕方、飲み込み方について、指導いたします。
萌出遅延や先天欠如への対処法
本来生えてくる時期に歯が生えてこないことを萌出遅延(ほうしゅつちえん)と呼び、生えてくるはずの歯が生えてこないことを先天欠如(せんてんけつじょ)と呼びます。こういった歯の異常があると、後々、永久歯が生えてくるスペースの不足へとつながるため、歯科処置が必要になることが多いので定期検診でチェックしていきます。
歯並びの悪さは親から子へ遺伝するのか?
ご両親に出っ歯や受け口などの歯列不正があると、それがお子さんへと遺伝してしまわないか、不安に感じる方も多いかと思います。こういった歯並びの異常は、ある程度、親から子へと遺伝するといえます。とくに、顎の骨の大きさなど、骨格的な異常は遺伝しやすいため、気になる方は一度、歯科医に診てもらいましょう。
口腔習癖(指しゃぶりなど)がもたらす歯並びへの悪影響
小さなお子さんには、指しゃぶりや舌を前へ突き出す癖などがよく見られます。こういった口腔習癖は、2歳頃の段階ではとくに問題となりませんが、さらに年齢が上がった段階でも残っている場合は、歯並びへの悪影響が予想されるため、矯正する必要が出てきます。
お口の中に現れるいろいろな異常(気になることがあったら歯医者さんへ)
乳歯が生え始める頃のお子さんは、お口の中にいろいろな異常が現れることがあります。歯茎に白い隆起が生じる「上皮真珠(じょうひしんじゅ)」や歯茎がぷっくりと大きく腫れる「萌出性嚢胞(ほうしゅつせいのうほう)」、舌の表面にまだらな白斑が生じる「地図状舌(ちずじょうぜつ)」などがその代表です。これらはいずれも経過観察することが多いのですが、場合によってはお口のトラブルへと発展するため、気になる方は受診してください